【子の引渡し審判の早急な申立が必要】

離婚前に配偶者(夫・妻)に子供を連れ去られてしまった場合、弁護士に依頼して、早急に、家庭裁判所に対して子の引渡し審判・審判前の保全処分の申立をする必要があります。

このようなお悩みですか?

  • ずっと私が子の面倒を見てきたのに、夫・妻が勝手に子供を連れて家を出て行ってしまった。
  • 子供を連れて家を出たら、連れ去りだ子供を返せと言われている。

子供を連れ去られてしまった場合にすべき法的手続ついて解説します。

【子どもを自力で連れ戻すことはNG!】

まず、一度連れ去られてしまった子供を相手方の同意なく自力で連れ戻すことは、自力救済禁止の原則からして、適切ではありません。
後の裁判で違法と評価されて不利になるおそれがありますし、場合によっては、未成年者略取誘拐罪(刑法224条)に該当し刑事責任を負うこともあり得ます。
現に、次のように、最高裁で有罪が確定されている事案もあります。

離婚係争中に、父親が、東京から妻らの住む青森県に赴き、保育園近くの道路上にて、祖母に連れられて保育園から帰宅しようとしていた長男(当時2歳)を、抱きかかえて自動車に乗せ、祖母の制止を振り切って車を発進させて連れ去った行為につき、未成年者略取罪の成立を認めた事案(最判平成17年12月6日刑集59巻10号1901頁)。

本件において,被告人は,離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって,そのような行動に出ることにつき,Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから,その行為は,親権者によるものであるとしても,正当なものということはできない。また,本件の行為態様が粗暴で強引なものであること,Cが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること,その年齢上,常時監護養育が必要とされるのに,略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると,家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。以上によれば,本件行為につき,違法性が阻却されるべき事情は認められないのであり,未成年者略取罪の成立を認めた原判断は,正当である。

最判平成17年12月6日刑集59巻10号1901頁

したがって、子供を連れ去られてしまった場合には、自力で解決することは絶対に避け、法的手続に則って対処する必要があります。

【子を連れ去られたときの対処法】

「子どもの所在を確認する」

まず、配偶者に連絡を取り、子供の所在を確認する必要があります。
子供の所在が確認出来ず、どこにいるかの見当もつかない場合には、警察に相談してください。
なお、子どもの住所地を管轄する裁判所に裁判を提起することになっています。

STEP
1

「すぐに弁護士に相談する」

配偶者と連絡が取れたのであれば、話し合いでの解決を目指すことが考えられます。
しかし、話し合いでは解決出来ないと少しでも考えている場合には、すぐに弁護士に相談するべきです。
子の連れ去りから裁判所への引渡し審判申立までに期間があくと、裁判で不利に扱われるおそれがあります。
したがって、配偶者との話し合いを進めるとともに、並行して、弁護士に相談されることをお勧めします。

STEP
2

「子の監護者の指定・子の引渡し審判の提起」

子の連れ去りに対応する裁判手続は法律上何種類か定めがあります。
もっとも、現在の実務運用では、子の住所地の家庭裁判所に対して、

  • 子の引渡し審判及び審判前の保全処分
  • 「子の監護者の指定」等及び審判前の保全処分

を申し立てることとされています。

子の引渡し調停もありますが、調停では話し合いでの解決にしかならず、相手方が応じない場合にはどうしようもありません。
地方裁判所に申立する手続(人身保護請求や親権に基づく妨害排除請求)もありますが、子の連れ去り・引渡しについての問題は、※第一次的に家庭裁判所で判断すべきとの考えから、原則として、同手続にはよらず、上述の子の引渡し審判によるべきと考えられています。

子どもの問題は第一次的に家庭裁判所で判断すべきである

共に親権を有する別居中の夫婦(幼児の父母)の間における監護権を巡る紛争は,本来,家庭裁判所の専属的守備範囲に属し,家事審判の制度,家庭裁判所の人的・物的の機構・設備は,このような問題の調査・審判のためにこそ存在するのである。(中略)これが活用されることなく、地方裁判所による人身保護請求が頻用されるとすれば、一面その安易な運用につき反省を要するとともに、他面、家庭裁判所の存在理由にかかる底の問題として認識されることを要する。

最判平成5年10月19日民集47巻8号5099頁補足意見(可部恒雄裁判官)
STEP
3

「審判前の保全処分とは」

子の引渡しの審判が出されたからといって、すぐに子どもを取り戻すことができるとは限りません。
子の引渡しの審判の内容に不服がある者は、高等裁判所に上訴(即時抗告)することが出来るからです。
連れ去られた親が早く子どもと一緒に暮らしたいと考えるように、連れ去った親の方は子どもと長く一緒にいたいと考えます。
仮に、家庭裁判所で「子を引き渡せ」との審判が出ても、連れ去った親が上訴した場合には、裁判が続くことになります。

しかし、審判前の保全処分が認容され、「子を仮に引き渡せ」との審判が出された場合には、高等裁判所での審理を待たずに、強制執行の手続に移ることが出来ます。
したがって、子の引渡し審判を申し立てる際には、審判前の保全処分も申し立てるようにしましょう。
もっとも、審判前の保全処分には別途要件が定められているところ、全ての案件で審判前の保全処分が認容されるわけではないことには注意が必要です。

STEP
4

「任意での引渡し・強制執行」

子の引渡し・審判前の保全処分を認容する判断が下された場合、まずは、任意での引渡しを求めます。
大半の親は、家庭裁判所の判断に従って、任意での引渡しに応じます。
もし、相手が任意での引渡しに応じない場合には、強制執行(直接強制・間接強制)を行うことになります。
なお、審判が出たからといって、自力で子どもを連れ戻してよいことにはなりません。

STEP
5

【子の引渡しの判断基準】

では、子の引渡しの審判は、どのような場合に認容されるのでしょうか。
横浜平和法律事務所では、基本的には、次のように考えています。

子の引渡しの判断基準

  1. 申立人(別居親)が主たる監護者であること
  2. 申立人(別居親)に監護者として不適格な事情がないこと

「主たる監護者」とは

主たる監護者とは、別居前に、夫婦のどちらが主として子どもの面倒を見ていたかということです。
申立人が主たる監護者と認定出来た場合には、原則として、子の引渡しの審判が出されます。
もっとも、主たる監護者に親としての不適格な事情(育児放棄・虐待)がある場合には、相手方が監護者として指定され、引渡しの審判が棄却されます。

「主たる監護者」が認定できない場合は?

では、夫婦が同程度に監護養育しており、いずれが主たる監護者であるかを認定出来ない場合にはどうなるのでしょうか?
その場合には、下記の事情・要素を総合して判断されるものと考えています。

監護者指定で考慮される事情・要素

  1. 子の従前の監護状況(別居前の監護状況)
  2. 子の現在の監護状況(別居後の監護状況)
  3. 父母の監護能力・監護態勢
  4. 子の事情
  5. 監護の継続性
  6. 乳幼児期における母性優先
  7. 子の意思の尊重
  8. きょうだい不分離
  9. 監護開始の違法性
  10. 面会交流の許容性

【子の引渡しについては、横浜平和法律事務所にお任せください】

子の連れ去り・引渡しの問題について、

このようなお悩み解決します!

  • 子どもを取り戻したい
  • 相手方から子の引渡しを請求されている

ということでお困りの方は、是非、当事務所にお任せください。

当事務所では、連れ去られた側・連れ去った側、いずれの立場でも受任経験がありますので、どちらの立場の方でも対応可能です。

当事務所の子の引渡しの弁護士費用(着手金・報酬金)については、こちらをご確認ください。

子の連れ去り・引渡しの問題は、早急に対応する必要があります。お気軽にお問合せください。

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